育て方

タマネギの育て方〜地域ごとに適した栽培方法を解説!

タマネギの育て方〜地域ごとに適した栽培方法を解説!

改めて考えてみるとタマネギくらいどんな料理にも使われ、ありふれた存在でありながら唯一無二の特徴を持つ野菜というのはなかなか存在しないのではないでしょうか。

薄皮に身を包み、本体は何層にも重なった葉の集まり。切り刻めばその香気で涙腺を刺激し、加熱すればどんどん甘くなる。カレーをはじめタマネギなくして成り立たない料理は多いでしょう。国内でも台風被害で北海道産のタマネギが出回らなくなり困った記憶もまだ新しいところです。

そんなわけで家庭菜園では是非どっさりと収穫したいタマネギの育て方をご紹介したいと思います。

タマネギの育成条件と栽培時期

<タマネギの栽培時期・秋植え>

<タマネギの栽培時期・秋植え>

<タマネギの栽培時期・春植え>

<タマネギの栽培時期・春植え>

 

タマネギの育成条件
  • 日当り:日なた
  • 土壌酸度:中性
  • 植え付け:株間10~15cm

タマネギの品種と栽培期間

タマネギの品種と栽培期間

タマネギの栽培をするときは秋植えが一般的で、春植えは苗のままでは越冬が難しい北海道などの寒冷地向けの栽培方法となります。秋植えタマネギの品種には(極)早生種、中生種、晩成種があり、それぞれの特徴は以下のようになっています。

  • (極)早生種 - 植え付けから収穫までが短い。玉は大きくなるものが多いが、保存性は劣る。春先に出回る、やわらかく水分の多い「新タマネギ」はこの早生種であることが多い。
  • 中生種 - 早生種と晩成の中間的な性格を持つ。
  • 晩成種 - 収穫まで時間がかかる。収穫量が多く保存性も高い。

一方春植えは植え付けが5~6月、収穫は9~10月と栽培期間が短めながら寒冷地ならではの寒暖差により甘味が強く保存にも耐えるタマネギができます。しかし夏の冷涼さが前提であるため、温暖な地域では春植え栽培は不適と言えます

家庭菜園では基本的には秋植えで育て、春先の新タマネギを楽しみたいならば(極)早生種を、長期間保存しながら使いたいなら(中)晩成種を選ぶと良いでしょう。

また、どの品種であれ種から栽培することも可能ですが、この記事ではより手軽な苗からの栽培方法を紹介します。というのも、タマネギの出来の良し悪しは植え付け時の苗の状態に負うところが大きく、自家栽培でその点を管理するのは労力がかかりすぎるためです。

タマネギの苗は植え付け時期になるとホームセンターなどで50本一束300円くらいからで販売されています。

タマネギの栽培環境

タマネギの栽培環境

タマネギの好む環境としては冷涼であること、粘質で水分の多い土壌であること、土壌酸度が中性であることです。

タマネギの土作り

土作りは定植を時期を迎える二週間ほどか前ら始めます。まずは土壌酸度調整のため苦土石灰を1㎡あたり150gまいて耕します。

一週間前になったら1㎡あたり3kgの堆肥、および元肥となる化成肥料を100g、過リン酸石灰30gをまき、深く耕します

畝立て

土作りが終ったら畝を立てておきます。植えつける本数にもよりますが、株間を縦横10~15cm取るとした場合、70センチ幅の畝で4列に植えつけることができます。

また雑草対策や冬の地温確保にマルチシートが有効なのですが、タマネギ用の穴あきマルチシートというものもあるのでこれにあわせて畝立てするのもひとつの手です

植え付けのポイント

タマネギの栽培は植え付け時期と苗の状態が重要なポイントになります。まずはお住まいの地域と栽培するタマネギの品種を把握して、植え付け適期を逃さないようにしてください。

ホームセンターなどで購入するときの苗選びのポイントは以下の通りです。

苗選びのポイント

  1. 適度な長さ(25cm~30cm)のものを選ぶ。
  2. 適度な太さ(7mm=鉛筆の太さと同程度)のものを選ぶ。
  3. 葉が3~4枚で分結しすぎていないものを選ぶ。
  4. 基部がふくらんでいたり、根が短かったり弱々しいものは避ける。

なにより適度な成長具合であることがポイントであり、上記のサイズはその目安になります。これより大きいと春以降にトウ立ちして固くなりやすく、小さいと越冬できずに枯れてしまう可能性があります。

定植のポイント

定植するときは株間を10~15cmとり、指や棒であけた穴に1本ずつ植えていきます。

この時、根元の白い部分が半分程度隠れるくらいの浅植えにするのがポイントです。緑色の部分まで土に埋まるように植えてしまうと縦長で丸みのないタマネギになってしまうので、注意してください。

植えつけたら、水をたっぷりと与えます。倒れている苗もしばらくすると自力で立ち上がってきます。

タマネギの栽培管理

タマネギの栽培管理

水やり

タマネギは乾燥に弱いため、冬の間も土が乾いていたらたっぷりと水をあげます。ただし冬の朝晩は温度が低くなるため日中の水やりを心がけましょう。

マルチシートをかけておけばリスクは軽減されますが、あまりに低温が続くようであれば籾殻やワラを苗の根元にまいておくのも良いでしょう。

春先も同様に水を絶やさないようにします

追肥(おいごえ)

タマネギの栽培では追肥は2回。植え付けからひと月後と株の勢いが出てくる2月下旬~3月頃がそのタイミングとなります。与える肥料は元肥と同じ化成肥料を使ってください。量は1㎡あたり50gで、苗の根元にパラパラと置く様にまいていきます。

肥料をまいたら根に吸収されるよう、水をたっぷりと与えましょう。収穫時の玉の形に影響するため、2回目の追肥以降は肥料を与えないようにしてください。

なお、春植えでは元肥のみで育てるようにし、追肥はあたえません

花芽摘み

ある程度育った苗が低温に当たると花芽(ネギ坊主)が咲いてしまう場合があります。これは本来収穫期を迎えた後に出てくるものです。

これを放置するとタマネギの中に芯ができて食用に適さなくなってしまうため、見つけしだい摘み取るようにしましょう

タマネギの収穫時期と収穫方法

タマネギの収穫時期と収穫方法
早生種であれば4月、中生種であれば5月中旬あたりから、葉がだんだんと黄色く枯れはじめると収穫の時期です。全体の8割程度が倒伏したら、天気のいい日を選んでまとめて収穫しましょう。収穫時は茎の根元を掴んで真上に引き抜いていき、抜いたらドロを落とします。

ドロを落とした後は雨の当たらない乾いた場所で1~3日ほど乾燥させましょう。タマネギは乾燥させることにより表面が茶色くなり、保存に適するようになります。

保管方法

その後保管する場合は数玉をまとめて茎ごと縛り、冷暗所に吊るして保存するか、または茎を切り落として通気性のある箱に入れておきます。保管状態がよければ早生種で1~2ヶ月、中生種で半年近く保存できます

新タマネギとして楽しむ場合は収穫後すぐが食べごろとなります

タマネギがかかりやすい病気

べと病

症状:葉が黄色がかった緑色に変色し、また湾曲が見られる場合もあります。生育が遅くなり、白や紫色の病斑が発生するとそこから枯死してしまうケースも見られます

原因と対策

土壌の中に含まれるカビの一種である原因菌が病原体ですが、この菌は春先の10~15℃くらいの温度で活性が高くなります。この時期に多湿になってしまうと広がりやすいようです。感染した株を見つけたら速やかに畑の外で処分しましょう。無農薬にこだわりがなければ予防のために薬剤を定期的に散布するとよいでしょう。予防にはアミスター20フロアブルなどが有効です。また、土壌中のみでなく苗が既に感染している場合もあるため健康な苗を選ぶことも重要です。

タマネギを狙う害虫

ネギコガ

ネギコガは蛾の一種で、成虫になっても小さくあまり目立たない虫なのですが、その幼虫はタマネギにとって厄介な存在です。主な被害は直接的な食害です。このネギコガは発生するタイミングが非常に頻繁で、春から秋にかけて5~10回ほど発生することもあるようです。

ネギコガの幼虫は葉の表面に生みつけられ、孵化するとサナギになるまでは葉の内側を食べ荒らしながら過ごします。タマネギの成長においては葉の一枚も無駄にできませんので、見つけ次第対処したい害虫です

対策

産卵させないよう寒冷紗やネットなどで保護するのが効果的ですが、あまり粗い目のネットでは入り込まれてしまうので注意しましょう。薬剤を利用するばあい、ネギコガに効果があり発生を抑制できるものとしてアディオン乳剤があります。

おわりに

最後になりますがタマネギの栄養・健康成分についても改めて述べてみたいと思います。

調べてみるとカルシウムや鉄分、カリウムなどのミネラル、ビタミンB1 ・B2といったところが代表的なところですが、注目すべきはあの辛味、刺激のもととなるのが硫化アリル。

この成分には血液サラサラ効果や新陳代謝を高める効果があるといわれており、ビタミンB1の吸収を助ける効果もあるそうです。

こういったところから高血圧や高脂血症などに効果のある野菜と言われているんですね。

ですがやはり汎用性の高さ、そしてなにより食べておいしい!というのが家庭菜園の野菜には大事。その点でタマネギは非常におススメの野菜だといえます。